馬の品種
品種
ウマの分類に関してはいくつかの方法があるが、どの分類方法も曖昧さをはらんでいる。動物分類学的にはこれらすべてがウマ(正確にはイエウマ)という単一の種である。現在は主に登録された血統に基づいて分類を行うのが主流である。たとえば、サラブレッドとして然るべき団体から登録を受けたウマがサラブレッドであり、サラブレッドであれば軽種である。仮にこれとまったく同一の遺伝子を備えていたとしても登録がなければサラブレッドとは認められない。
- 外観や能力による分類法 - いずれも個々のウマの外観的特徴に基づく分類ではなく、登録されている品種単位での分類である。
- 常歩馬・速歩馬・駆歩馬 - もっぱら走るスピードに着目した分類法。ドイツのミツテンドルフが考案したものでかつては普及していた。
- 温血馬・冷血馬 - 実際にウマの体温や血液の成分によるのではなく、ウマの運動性からの連想による分類法。一般に小型で敏捷であれば温血種、大型であれば冷血種に分類される。
- 軽種馬・中間馬・重種馬 - 体の大きさによる分類法。日本やイギリスで普及している。
- 正方形馬・長方形馬・高方形馬 - 体高と体長の比率による分類法。ドイツでつくられた考え方。
- 純血馬・半血馬 - 純血といっても遺伝的・生物学的な根拠に基づくものではなく、公式な血統管理団体による登録による分類法である。
- 正常馬・ポニー - イギリスで考案された分類法で、体高が148センチ以下のものを機械的にポニーと称した。
- 現在日本では、ウマを軽種とそれ以外に分類している。このうち軽種については、財団法人日本軽種馬登録協会が登録規定を行っている。軽種以外は社団法人日本馬事協会が登録を行っており、登録規定で乗系、輓系(ばんけい)、小格に分類している。ただし日常的には重種、中間種などの表現が用いられることもある。
- サラブレッドやポニーなど、我々がふだん目にする馬の多くは改良種と呼ばれ、スピードや耐久力、パワーなどを高めるような改良がなされているが、それに引き替えて不定期の給餌に耐える体質や危険から身を守る本能の一部を失っている。また、各地にそれぞれ在来種と呼ばれる固有の特徴をもった品種が少数存在する。在来種は古来のウマの特徴を比較的よく残しているが、それらも多かれ少なかれ人間の手によって改良されている。細かくみると約250種類以上確認される。混血も多い。
野生種
現在では、野生種はほとんど絶滅したとされる。アメリカのムスタングや、宮崎県都井岬の御崎馬などは、半野生状態で生息しているが、いずれも家畜として飼育されていたものが逃げ出し、繁殖したものである。モンゴルに生息するモウコノウマ(Equus przewalskii)は、真の野生ウマというべき種であるが、1968年以降、野生状態では1頭も確認されていない。
- EXTINCT IN THE WILD (IUCN Red List)
軽種
主に乗用や、乗用の馬車をひくために改良された品種で、軽快なスピードとある程度の耐久力をもつように改良されている。
- サラブレッド
- アラブ
- アングロアラブ
- アンダルシアン
- アハルテケ
中間種
中間種の代表、クォーターホス
軽種と重種の中間的な性質を持ち、軽快さと比較的温厚な性質を持つ。
- セルフランセ
- クォーターホース
- トロッター
- ハクニー
- ハンター
- ノルマン
- フリージアン
重種
重種の代表、ペルシュロン
主に農耕や重量物の運搬のために改良された品種。中世ヨーロッパでは重い甲冑を着込んだ重装備の騎士の乗馬とされた。大きな個体では体重1トンを超えることも珍しくない。また、軽種よりも美味とされ、食用として用いられるのは重種馬が多い。
北海道特有の競馬競走の一種、ばんえい競馬で用いられているのは、この重種でもペルシュロンやベルジャンの混血馬や、これらと北海道和種などの在来種の混血(重半血)が多い。このばんえい競走で使用される馬をまとめて便宜的に『ばんえい種』などと称する事もある。
- ペルシュロン
- ブルトン
- ベルジャン(ベルジアン)
- シャイヤー
- クライズデール
ポニー
ポニーは、肩までの高さが147センチメートル以下の馬の総称である。かつては、14ハンド2インチ(14.2ハンドと表記する)=約147センチ(1ハンドは4インチ=10.16センチメートル)に満たないウマをポニーと称し、それ以上のものを馬として機械的に分類していた。近現代になって血統登録による品種の分類が確立するまでは、例えば下に示すシェトランドポニーでも大柄であれば「馬」と考えられていた。今でも日常的には、品種に関わらず小柄な馬をポニーと称することが多い。
- シェトランドポニー
- ウェルシュマウンテンポニー
- ハクニーポニー
- コネマラポニー
- アメリカンミニチュアホース
在来種
日本在来種は以下の8種。北海道和種以外は非常に飼育頭数が少ない。日本では馬の品種改良の概念が存在しなかったため、時代が下るごとに小型化する傾向があり、全てポニーに含まれる。
- 北海道和種(北海道):「道産子(どさんこ)」の俗称で親しまれている。
- 木曽馬(長野県木曽郡、岐阜県)
- 野間馬(愛媛県今治市野間)
- 対州馬(長崎県対馬市)
- 御崎馬(宮崎県都井岬)
- トカラ馬(鹿児島県トカラ列島)
- 宮古馬(沖縄県宮古諸島)
- 与那国馬 (沖縄県八重山諸島)
○資料請求
ウマ(馬)
ウマ科の動物の馬(ウマ)について説明しています。
ウマ(馬)は、ウマ目(奇蹄目) ウマ科に属する動物の総称。現生は、いずれもウマ属に属するウマ、シマウマ、ロバの仲間、5亜属9種のみである。狭義の「ウマ」は、このうち特に種としてのウマ
Equus caballus のみを指す。
社会性の強い動物で、野生のものも家畜も群れをなす傾向がある。北アメリカ大陸原産とされるが、北米の野生種は、数千年前に絶滅している。欧州南東部にいたタルバンが家畜化したという説もある。
古くから中央アジア、中東、北アフリカなどで家畜として飼われ、主に乗用や運搬、農耕などの使役用に用いられるほか、食用もされ、日本では馬肉を桜肉と称する。
学名の Equus はインド・ヨーロッパ語でウマを意味する ekwos に、種小名の caballus は中央アジア-スラブ-フィンランド語系でウマを意味する kaval に由来する。日本語の「ウマ」は、モンゴル語の morin に由来するという説があるが、「梅(うめ)」などと同様、直接的には「馬」という漢字の字音(マ)によると考えるのが妥当であろう。
なお、道路交通法上、馬が引く車および人の騎乗した馬は軽車両に分類される。
なお、日本語で馬の鳴くのを特に「いななく」(動詞)ということがあり、古くは「いばゆ」(下二段動詞)といったことがある。馬は凶暴という噂があるがそんなことない。
分類 |
界: |
動物界 Animalia |
門: |
脊索動物門 Chordata |
亜門: |
脊椎動物亜門 Vertebrata |
綱: |
哺乳綱 Mammalia |
目: |
ウマ目(奇蹄目) Perissodactyla |
科: |
ウマ型亜科 Hippomorpha |
科: |
ウマ上科 Equoidea |
科: |
ウマ科 Equidae |
属: |
ウマ属 Equus |
種: |
caballus |
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学名 |
Equus caballus
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和名 |
ウマ
|
英名 |
Horse
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目次
[ 馬 ]
- 1 生物学的特徴
- 1.1 毛色
- 1.2 白斑
- 1.3 旋毛
- 1.4 進化
- 2 品種
- 2.1 野生種
- 2.2 軽種
- 2.3 中間種
- 2.4 重種
- 2.5 ポニー
- 2.6 在来種
- 3 人間とウマ
- 3.1 人間によるウマ利用の歴史
- 3.2 食用
- 3.3 乳用
- 3.4 民間医療薬として
- 3.5 尾毛
- 3.6 伝承・民話・神話
- 3.7 ウマの登場する諺、故事成語、慣用句、四字熟語など
- 3.8 楽曲
- 3.9 映画
- 3.10 TV
- 3.11 ドキュメンタリー
- 3.12 小説
- 3.13 キャラクター
- 3.14 その他
- 4 軍用馬
- 5 警察馬
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
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